住宅街の中に佇むそのカフェは、
元は音楽家のご夫妻の住まいであった古民家を、
取り壊す事なく、継いで行きたいと言う思いから
スタートしたのだと言う。
柱や壁や梁の一つ一つに、時間の重なりを感じる空間には、楽しくおしゃべりをする女性3人組。
赤ちゃん連れのお母さん、
ご近所の方かと思われるお爺さん、
黙々と本に目を落とす青年などが、
それぞれ、思い思いに、
穏やかなひと時を過ごしている...。
ふと、硝子戸の向こうに目をやると、
広い庭の奥に、樹齢100年と言う躑躅が根を下ろし、まるでこの家の主であるかのごとき趣きで、
全てをじっと見守っている。
花の季節にはさぞや見事な事だろう。
硝子に映るその花は、
この白壁を紅色に染めるのだろうか...。
春の再訪を心に誓いつつ、アップルクランブルとバニラアイスに心解けた冬の夕暮れ。
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